FRBが再利下げ:内部対立が顕著に、3票の反対は過去6年で初
今回の決定は、米連邦準備制度内で異例の意見の相違が浮き彫りとなったものであり、2019年以来初めて3票の反対が出ました。
著者:Chloe,ChainCatcher
今年最後の利上げ会合が終了し、米連邦準備制度理事会(FRB)は市場の予想通り、基準金利を25ベーシスポイント引き下げ、3.50%-3.75%のレンジとすることを発表しました。これで3回連続の利下げとなります。9月以降、FRBは合計で75ベーシスポイントの利下げを実施しています。今回の決定は9対3の投票比率で可決され、反対票を投じた2名の委員は金利据え置きを支持し、1名は50ベーシスポイントの利下げを支持しました。
同時に、FRBは十分な準備金供給を維持するため、国債購入プログラムを開始します。Reutersの報道によると、この技術的な購入行動は12月12日から始まり、最初の国債購入額は約40億ドルに達する見込みです。
また、FRBは12月初旬にバランスシート縮小策の終了を決定したばかりですが、直ちに小幅なバランスシート拡大に転じ、最近のリポ市場の圧力や短期資金市場の変動に対応します。
パウエル議長、利上げの可能性を否定 コアミッションは2%インフレ目標の維持を強調
政策声明によれば、経済活動は緩やかに成長しているものの、雇用市場は弱含み、失業率は上昇、インフレ水準は依然として高い状態です。最大雇用と2%インフレ目標の達成のため、FRBは金利レンジを引き下げ、今後の調整は最新データとリスク評価に基づいて決定するとしています。委員会は引き続き労働市場、インフレ期待、国内外の金融動向を注視します。同時に、準備金を十分に確保するため、短期国債購入プランを開始します。
運用面では、FRB理事会(Board of Governors)は関連金利の調整に全会一致で同意し、公開市場操作(リポ再投資を含む)の実施を指示しました。
記者会見でパウエル議長は、今回の利下げの理由はインフレに依然として上昇圧力があり、労働市場が弱含みとなっているため、2つの目標が互いに引っ張り合っていると述べました。リスクゼロの政策は存在せず、現在の金利は「広義の中立レンジ」に戻っており、政策スタンスは「かなり適切」であるため、今後はデータをじっくり観察してから次の一手を決めるべきで、方向性をあらかじめ決めるものではないと強調しました。労働市場の下振れリスクがインフレよりも大きいことを示唆し、目標を上回るインフレの多くは関税による一時的なものだと述べました。
パウエル議長は利上げの可能性を否定し、FRBのコアミッションは「2%インフレ目標の維持」と「雇用の最大化支援」であり、政策のすべての調整はこれに基づくものであると改めて強調しました。
経済見通しについて、パウエル議長は消費と企業投資は堅調であり、不動産市場は弱含みながらも全体的な勢いは強いと指摘しました。最近の連邦政府の短期間のシャットダウンは今四半期の経済に影響を与えましたが、来四半期には一部緩和される見通しです。
FRBの最新経済予測(SEP)によると、今年と来年のGDP成長予想はそれぞれ1.7%と2.3%に上方修正されました。来年の成長がより楽観的なのは、消費支出の強さに加え、AI関連のデータセンターや設備投資が企業の資本支出を押し上げるためです。政府閉鎖の影響を除けば、来年のGDP成長は約2.1%となります。
会合後に公表された「ドットチャート」では、多くの政策決定者が2026年にも25ベーシスポイントの追加利下げを予想しており、9月の予測と同じです。ただしパウエル議長は、これは次の一手が必ず利下げや利下げ停止を意味するものではなく、FRBの次の行動は完全に経済状況に依存し、あらかじめ方向性を決めているわけではないと強調しました。
FRB内部の意見対立が拡大、トランプ氏は利下げ幅が小さいと発言
しかし今回の決定は、FRB内部の異例の意見対立をより鮮明にしました。行動を支持したのはパウエル議長、副議長ジョン・ウィリアムズら9名で、反対したのはスティーブン・ミラン(50ベーシスポイントの利下げを主張)、オースティン・グールズビー、ジェフリー・シュミット(据え置きを主張)の3名です。こうした3票の反対は2019年以来初めてです。
また、声明で言及された2名の利下げ反対委員だけでなく、他の政策決定者も慎重な姿勢を示しています。ディスカウントレート(FRBが商業銀行に緊急融資する際の金利)の引き下げ申請を行ったのはわずか4つの地区連銀で、6名の政策決定者は経済予測で来年末の金利を3.75%-4%のレンジに維持することを好んでいます。
「FRBのスポークスマン」Nick Timiraosは、インフレと雇用市場のどちらをより懸念すべきかについて、委員の間で深刻な分裂があると分析しています。これはパウエル議長がどのように舵を取るかにかかっている可能性があります。パウエル議長の任期は来年5月に満了し、残り3回の金利決定会合しかありません。
決定発表後、米株式市場と債券市場は同時に上昇し、ダウ・ジョーンズ指数は約500ポイント上昇、米国債利回りとドル指数は下落、金利スワップ市場は来年さらに約50ベーシスポイントの利下げを織り込んでいます。しかし、暗号資産市場の反応は鈍く、bitcoinは90,000-91,000ドルのレンジ、ethereumは3,200-3,300ドルのレンジで推移しています。暗号資産市場の恐怖と強欲指数は30から29に低下しました。
米国大統領トランプ氏はこれについて、利下げ幅が小さすぎ、もっと大きくできたはずだと述べました。
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
こちらもいかがですか?
オラクルの株価は、積極的なAI投資が投資家の懸念を引き起こし、プレマーケット取引で約12%下落しました。
賞金総額60,000 USDT、「TRON ECO Holiday Odyssey」年間エコシステム探索イベントがまもなく開催
TRON ECOはクリスマスと元旦期間中に大規模なエコシステム連動イベントを開催し、複数の豪華な特典がエコシステム全体の体験をカバーします!

CoinShares 2026年レポートの解読:投機的なストーリーに別れを告げ、実用性の元年を迎える
2026年は「ユーティリティが勝つ年(utility wins)」になると予想されており、デジタル資産はもはや従来の金融システムを置き換えよう とするのではなく、既存のシステムを強化し、現代化することに重点を置くようになります。

連邦準備制度理事会(Fed)のタカ派姿勢により、暗号資産市場が急落
要約:暗号資産市場は3%下落し、時価総額は3.1兆ドルまで減少しました。FRBによるタカ派的な利下げは市場への圧力とボラティリティをさらに強めました。日本での金利上昇も、世界的に暗号資産価格の不安定化を引き起こしています。

