7年の終章：DappRadarの崩壊、なぜWeb3全体を揺るがせたのか？

落ち葉が絶え間なく降り積もるように、業界のサイクルの中で多くのプロジェクトが「死」を迎えるのは、冬の時代に入る際に避けられない段階であり、業界関係者にとってはすでに見慣れた光景となっています。しかし、有名な分散型アプリケーションデータプラットフォームDappRadarが昨日、運営停止を発表したニュースは、業界全体に衝撃を与えました。

発表から24時間も経たないうちに、DappRadarの告知ツイートの閲覧数は160万回を突破しました。「7年後、別れの時が来た」という言葉に、悲しむ人、懐かしむ人、そして助けを申し出る人もいました。

CoinMarketCapのCEO @RushCMCは「何か方法はないのか、君たちに残ってほしい」とコメントしました。さらに多くの人々が「純粋なWeb3の世界では、DappRadarのようなプロジェクトこそが繁栄すべきだった」と感慨を述べています。

「7年目の壁」を越えられず、収支の不均衡で閉鎖

2025年11月17日、DappRadarの共同創業者Skirmantas JanuskasとDunica Dragosは、ソーシャルプラットフォームXで、今後数日以内にすべてのブロックチェーンとDAppのデータ追跡サービスを段階的に停止すると発表しました。彼らは過去にさまざまな選択肢を試みたものの、最終的には事業を閉鎖するという苦渋の決断を下さざるを得なかったと述べています。

両創業者は、設立から7年間でDappRadarプラットフォームは100以上のブロックチェーン、数千のプロジェクトと協力してきたものの、現在ではプラットフォームの規模とコスト構造が市場環境に合わなくなり、この規模のプラットフォーム運営は財務的に持続不可能になったと説明しています。

ある意味、強気相場の高トラフィック期に構築された巨大なデータインフラは、長期の弱気相場ではむしろコストのかかる「重荷」となり、さらに収益源の不足も重なって、収入が支出に追いつかず、継続困難な現状を招きました。

DappRadarは過去に2回の資金調達ラウンドで合計約733万ドルを調達しており、2021年5月にはProsus VenturesとLightspeed Venture Partnersが主導し、Blockchain Venturesなどが参加したAラウンドで500万ドルを獲得しました。当時は暗号資産の普及と投機が急増しており、これらの資金はデータカバレッジとプロダクト機能の拡大に使われました。

プラットフォームトークンについては、DappRadarチームは段階的なリリース戦略を採用し、ネイティブトークンであるRADARは当初流通量が少なく、2021年12月にリリースされ、2023年末までに総供給量の約10.6%が解放されました。しかし2024年初頭以降、RADARトークンの価格は全体的に下落し続け、最高値の0.05ドルから大きく乖離し、97%以上の下落となりました。

RADARトークン価格推移、データ出典：CoinGecko

運営停止のニュースが発表されると、RADAR価格は当日約30%急落し、東八区時間11月18日午後7時時点で0.0006838ドル付近まで下落しました。現時点でチームはRADARトークンおよびDappRadar DAOの今後の対応について明確な説明をしておらず、コミュニティチャネルを通じて意見を募り、決定を公表するとしています。

DappRadarのビジネスモデルが維持困難な理由

財務的な持続不可能性の主な原因は、DappRadarのビジネスモデルと収益源にあります。

データプラットフォームとして、RADARトークン自体の発行と運用もビジネスモデルの一部であり、ユーザーの有料サブスクリプション機能と連動しています。2021年、DappRadarはネイティブトークンRADARの発行と同時に、DappRadar PROプレミアム会員サービスも開始しました。一般ユーザーの無料版基本機能に比べ、PRO会員は独自データ、カスタム通知、高度なフィルタリングなどの特典を受けられます。

従来の有料サブスクリプション制とは異なり、DappRadar PROはトークンステーキング制を採用しています。ユーザーは一定量のRADARトークンをステーキングすることで会員資格を有効化でき、30日間のアンロッククールダウン期間が設定されています。この設計は一方でトークン需要を促進し、他方で年率15%のステーキング報酬によってユーザーの長期保有を奨励します。このようにプレミアム機能とトークンエコノミーを結びつけることで、理論上はユーザーの保有とステーキングによってトークン価値の成長を促進できるはずでした。

BtoB向けには、DappRadarは主にデータコミュニティを活用した広告収益化を行っていました。広告形態は、ウェブサイトでのバナー掲載、スポンサー記事の公開、ソーシャルメディアでのプロモーション、共同オンラインイベントの開催、ニュースレターでのプロモーション、トークンエアドロップイベントのスポンサーなど多岐にわたり、料金もさまざまでした。業界の熱気が高い時期には、これらの収入は非常に大きく、DappRadarの収益の重要な部分を占めていました。

ストーリー性が失われ、相場が弱気に転じた段階で、DappRadarは他のサービスも開始してプラットフォーム収入の増加を試みました。今年5月には、開発者向けにDappRadar Premiumプレミアムサブスクリプションサービスを開始し、このサービスはプロジェクトごとに月額249ドルの料金が設定されていました。

プレミアムサブスクリプションを購入すると、プロジェクトページの露出度向上、アップデート提出の優先審査、より詳細な月次トラフィックとオンチェーン指標レポート、カスタムデータパネルなどのサービスが受けられます。このモデルは、プロジェクト側からマーケティングおよびデータ分析サービス料を徴収するもので、プラットフォームに定期的な収入をもたらすことを目的としていました。

しかし明らかに、この施策も効果はなく、DappRadar Premium開始から半年後、DappRadarは運命の終わりを迎えました。根本的には、収入の乏しさは、同社が重点的に注力してきた分野の衰退と密接に関係しています。

GameFiとNFT業界の大きな衰退

DappRadarは常に全カテゴリのdAppデータを扱っており、トップページのナビゲーションもDeFi、NFT、Games、Tokens、Exchangesなど複数のカテゴリをカバーしていますが、そのブランド影響力と収益機会はチェーンゲームとNFT分野に高度に集中していました。以前の強気相場では、ランキング、相場、レポートがメディア、投資家、プレイヤーに頻繁に引用されていました。

特にチェーンゲーム/GameFi分野では、P2Eモデルが高いアクティブ度を維持していた時期、DappRadarプラットフォームはそのデータの網羅性、正確性、客観性で高く評価され、トラフィック成長の重要な原動力となっていました。DappRadarは「初心を忘れず」、長期にわたりゲーム分野に注力し、ブログ記事やレポートなどのオリジナルコンテンツも多くがチェーンゲーム関連でした。

DappRadarの運営停止のニュースを受け、著名なチェーンゲームAxie InfinityおよびゲームパブリックチェーンRoninの共同創業者Jihozは、非常に悲しいとコメントし、以前は毎日自分のゲームがEthereumランキングで何位かを確認するのが日課だったと述べました。さらに2019年にJihozが将来の妻と初めて会った際にも、「私たちのゲームはDappRadarで1位で、デイリーアクティブユーザーは200人に達している」と紹介したそうです。

DappRadarのもう一つの強みはNFT市場データの追跡とランキングであり、多くのNFTプレイヤーが業界参入時にデータを調べる際の入門ツールでもありました。NFT取引市場Elementは、「DappRadarは最も包括的なNFTデータプラットフォームの一つであり、私たちは常にこのプラットフォームを使って業界動向を追跡してきた。DappRadarは暗号資産分野のベテランであり、その終焉は非常に残念だ」とコメントしています。

盛者必衰。2022年以降、NFTやGameFiのアクティブ度が継続的に低下し、プロジェクト側のマーケティング予算が縮小、ユーザーやメディアの関心も減少し、DappRadarの最も商業化ポテンシャルの高い2つの事業はすでに衰退していました。

DappRadar公式の最新のチェーンゲームレポートによると、第3四半期のチェーンゲームのデイリーアクティブウォレットは466万で、第2四半期からさらに4.4%減少しました。今年第1四半期は580万でしたが、その後は緩やかに減少し続けています。さらに2025年第2四半期だけで、300以上のWeb3ゲームが更新停止または閉鎖され、プラットフォームに登録されているゲームプロジェクトの約8%に相当します。

NFT分野も同様に厳しい状況です。CoinGeckoのデータによると、世界のNFT総時価総額は10月5日の約66億ドルから1か月で35億ドル急落し、下落率は45%に達しました。10月には販売量が一時的に増加し、ブルーチップNFTのフロア価格が一時的に上昇したものの、市場は依然として低迷しています。

そのため、多くのゲームやNFTプロジェクトが姿を消し、アクティブプレイヤーも減少し続け、DappRadarのようなチェーンゲームやNFTデータを提供するプラットフォームがカバーできるアクティブなエコシステムは縮小し続け、外部からの注目度も同時に低下しました。

最終的に、DappRadarがその生涯を終える時、多くのプラットフォームの古参ユーザーはようやく気づきました——実はこんなにも苦しい状況だったのかと。感慨と追憶は、DappRadarへの最大の敬意であると同時に、業界の停滞と退屈さに直面した時に心に湧き上がる一抹の寂しさでもあります。