誰がx402兆のトラックの最大の勝者になるのか？

x402の価値捕捉に関する厳しい現実。

執筆：Yash

翻訳：AididiaoJP，Foresight News

x402は今まさに注目の時を迎えており、a16zはこれを30兆ドル規模の市場と称しています。

リリース初期からx402を追ってきた者として、私は考え始めました：もしこの市場が本当にこれほど巨大なら、最大の勝者は誰になるのか？

この記事ではx402が何かを説明するのではなく、実用的な観点からその価値蓄積と採用状況を分析します。

x402のコアバリューは、すべてのAPIコールを支払いトランザクションに変えることです。簡単に言えば、どんなボタンクリックもマイクロペイメントに変換できます。

x402は技術的なイノベーションではなく、ブロックチェーントランザクションで完全に実現可能です。すべてのブロックチェーントランザクションの制約（Gas代、ウォレットなど）はx402にも当てはまります。

しかし、決済標準としては非常に強力で、HTTPSプロトコルと互換性があり、インターネット全体に決済機能をもたらします。

すべての決済システムと同様に、x402には4つの主要な利害関係者が存在します：

• API販売者（供給側）
• API購入者（需要側）
• 仲介業者
• 基盤チェーンとトークン

1. 販売者（供給側）

主に2つのタイプに分かれます：

• 一次/二次販売者（例：@switchboardxyzが自社の価格データを販売）
• 三次販売者（例：代理APIを通じて@heliuslabsのRPCサービスを販売）

一次販売者にとっては、需要が十分に大きくなればx402をサポートする十分な理由があります。これにより新たな市場を開拓できます。

例えば、The New York Timesはウェブサイトでx402をサポートし、クローラーロボットに有料アクセスを要求することで新たな収益源を開拓できます。

また、Airbnbのようなプラットフォームがx402をサポートすれば、@perplexity_aiのAIエージェントがUSDCで直接支払い、同じトランザクションで自動的にコミッションを獲得できます。

二次販売者はしばしば「APIマーケットプレイス」となり、さまざまなAPIを統合してユーザーに簡単な決済方法を提供します。彼らの収益モデルはアービトラージで、例えば月額20ドルの固定費を支払い、1回のコールごとに0.0001ドルを請求するなどです。

短期的には、仲介業者がAPIマーケットプレイスを構築してコールドスタート問題を解決するインセンティブがあります（例：@corbits_dev）。

販売者にとって、目の前のチャンスは既存のAPIやウェブサイトをx402対応にアップグレードし、ネットワーク効果から追加収入やトラフィックを得ることです。

2. 購入者（需要側）

APIの消費者、特に「AIエージェント」。ウォレットを持つユーザーやエージェントは誰でもx402でAPI料金を支払うことができます。

これはエコシステム全体で最も立ち上げが難しい部分です。現時点では実需はほぼゼロ（ほとんどがスパムトランザクション）と言えます。

需要を刺激する方法は2つあります：

• 販売者がx402を通じてのみデータを提供（例：ニュースサイトがx402経由の有料クローリングのみ許可）
• x402対応APIを十分に提供し、エージェントやアプリが簡単に利用できるようにする

私は、鍵となる推進者は@Cloudflare（x402財団メンバーで、ペイ・パー・クローリングに特に注目）だと考えています。世界最大のエッジネットワーク/CDNサービスプロバイダーとして、Cloudflareはネットワークトラフィック（API、コンテンツ、サービス）の配信を深くコントロールしています。

彼らはスイッチを一つ追加するだけで、特定のコンテンツにx402を有効化し、開発者が追加収入を得られるようにできます。（初期はCoinbase/Base独占で、NETドル決済をサポートするのではと予想しています）。

私はCloudflareがこの機能を実装するためのUIデザインまで考案しました。

エージェントコマース（ChatGPT、Shopifyなど）はx402最大の需要ドライバーとなるでしょう。

重要な注意点：多くの人がx402はウォレット不要で支払い可能と誤解していますが、x402は魔法ではなく、本質的にはウォレットとブロックチェーントランザクション（Gas代含む）が必要です。ただし、これらは抽象化されていたり、APIポイントを通じてオフチェーンでバッチ処理できたりします。

3. 仲介業者

VisaやMastercardのように、APIの売り手と買い手の間で決済をルーティングします。通常は0～25ベーシスポイントの手数料を取ります（現状はほとんど無料）が、これは価格競争が避けられません。なぜなら仲介業者の参入障壁が非常に低いからです。

Visa/Mastercardには強固な参入障壁がありますが、x402の仲介業者にはほとんどありません。なぜなら本当のネットワーク効果は基盤ブロックチェーンに蓄積されるからです。CloudflareやGoogleのような大企業は、SolanaやBaseなどのチェーン上で独自の仲介業者を1日で立ち上げることができます。なぜなら彼らはユーザーインターフェースを支配しているからです。

Coinbaseのような大手は、エコシステム拡大のために仲介業者サービスをオープンソース化し無料提供する可能性もあり、利益率はさらに圧縮されます。

現在の主要なx402仲介業者は@CoinbaseDev、@x402rs、@PayAINetworkです。

4. パブリックチェーンとトークン

@coinbaseの重点プロジェクトとして、@base（およびUSDC）は当然ながら主力チェーンです。しかし他のパブリックチェーン、例えば@SolanaFndn（x402ハッカソンを開催）も全力で推進しています。

すべてのステーブルコインとパブリックチェーンはx402の主導権を争うでしょう。なぜならこれによりチェーン上のTVL（ステーブルコインロック量やトランザクション数）が直接増加するからです。

@tempoや@arcのようなステーブルコインチェーンが、どのようにx402をエンタープライズ開発ツールキットに統合するかは非常に興味深いです。

私の見解では、パブリックチェーン、トークン、ウォレットがx402エコシステムで最大の価値を捕捉するでしょう。

Coinbaseと@brian_armstrongがこれほどx402を推進するのは理由があります。Coinbaseは技術スタック全体を掌握しています：

• 仲介業者（CDP）
• パブリックチェーン（Base）
• ステーブルコイン（USDC）
• ウォレット（BaseアプリおよびCoinbase組み込みウォレット）

彼らはエンタープライズ顧客（Cloudflare、Vercelなど）にエンドツーエンドのソリューションを直接提供でき、同時にコアプロトコルはオープンソースのままです。

Baseは現時点で大きくリードしていますが、すべてはまだ始まったばかりです。

Stripeのような大企業は、おそらく独自のx402類似プロトコルを立ち上げたり、自社チェーン（@tempoなど）上でx402決済を運用するでしょう。また、@solanaや@baseなどのチェーン上では、現時点で大規模なマイクロペイメントは経済的ではありません。

例えばSolanaでは、基礎手数料＋優先手数料のため、0.1ドル未満の支払いは割に合いません。支払いトランザクションは投機的取引（Memecoin交換など）とリソースを争う必要があります。Tempoの設計は評価しており、支払いトランザクション専用のチャネルを提供しています。

今後、x402の普及に伴い、x402決済専用のサイドチェーン/アプリチェーン/Rollupソリューションが登場することは間違いありません。

インターフェースとウォレットの価値捕捉

言うまでもなく、トラフィックの入口やユーザーインターフェースを掌握する側が最大の価値を得ます。プラットフォーム/マーケットプレイス、AIチャットアプリ、AIブラウザなどです。

インターネット分野では、ブラウザが最もユーザーの注意を集めており、x402の統合やウォレットレイヤーのコントロールに最適です。

Chromeにネイティブウォレットが内蔵され、クリックのたびにx402決済が発生する未来を想像してください。どんなAPIもセキュアなホワイトリスト審査を通過すれば、必要な時に即座に決済できます。

ブラウザ側は簡単に0.05%のトランザクションフィーを徴収でき、ユーザーも利便性のために支払うでしょう。

しかし、x402の最大の競争相手はStripeです！

例えば、最大の消費者向けAIアプリChatGPTは@Stripeを通じてコマース機能を実現すると発表しました。Stripeは独自のエージェントコマースプロトコル（ACP）を持ち、既存のクレジットカードネットワーク上で共有決済トークンを使って決済を処理します。

x402と動的リソース価格設定

x402は「1回のAPIコール0.001ドル」などの固定価格設定に優れていますが、これはブロックチェーンの真の潜在能力――あらゆるものに市場を作る――を十分に発揮していません。

x402のユニークな点は「リソースマーケット」の実現にあると私は考えます。これらのリソースは：

• データや結果（価格、ニュースなど）
• 計算力や推論能力
• 特定の操作（航空券予約など）
• 複雑なワークフロー（椅子のカスタムメイドなど）
• 優先サービス（時間枠や帯域の予約など）

歴史的に、市場メカニズムは情報調整の問題を解決し、価格は自然に需給を反映します。

今、こんな未来を想像してください：あなたがAIエージェントに「この仕様で500ドルで椅子をカスタムメイドして」と伝える。

このエージェントは複数のリソースを自律的に調整します：木材の調達、大工の雇用、配送の手配――すべて自動化され、リソース調整の課題を完全に解決します。

大規模言語モデルとAIエージェントのおかげで、私たちは初めてサプライチェーン全体で推論と交渉ができるマシンを手に入れました。これが超金融化を促進し、市場が動的に形成され、あらゆるリソースやアクションにリアルタイムで価格がつき、AIエージェントが裏でシームレスに取引・決済します。

x402自体は動的価格設定をサポートしていませんが、Solanaのようなブロックチェーンは、パーミッションレスな市場創出メカニズムでそれを実現できます。

Airbnbの各ホストが動的市場を持ち、価格がホストによる固定ではなく完全に市場需要で決まる――そんな世界に私たちは向かっています。

x402の将来展望

私はx402とそれがもたらす無限の可能性に期待しています。

しかし、確かに過度に誇張されています。もしx402トークンに投資したいなら、その99%は中身のないコインです。

短期的には悲観的ですが、長期的には非常に楽観的です：x402は間違いなくエージェント型インターネットの基盤技術となり、暗号ネットワークに深く統合されるでしょう。

x402はSolana Blinksを思い出させます。クリックごとにSolanaトランザクションリクエストを発生させるもので、当時は大きな話題にはなりませんでした。

しかし今回は違います。@coinbaseという巨人が先導しており、もし成功すればインターネットの決済方法は永遠に変わるでしょう！

まとめ

トラフィックの入口やユーザーインターフェース（および資産/パブリックチェーン）を掌握する側がx402エコシステムで最大の価値を得ます。これがCoinbaseが全力で推進する理由であり、エンドツーエンドの全技術スタックを掌握しています。

SendAIチーム（特に@_0xaryan）は2025年5月からx402の動向を密接に追い、@vercelと協力してx402-mcpプロジェクト（特定ユースケース向けに@solanaサポートを追加）に積極的に貢献しています。

今後、私たちは完全なx402技術スタックをより広範なインフラやアプリケーションに統合していきます。