Vitalikが絶賛したZKsync、本当に過小評価されている可能性がある

単一GPUにおいて、Airbenderは検証速度が最速であり、コストも最も低いです。

執筆：Eric，Foresight News

11月1日、VitalikはZKsync創設者によるZKsync Atlasアップグレードに関するポストを引用し、ZKsyncが「過小評価されているがEthereumエコシステムにとって非常に価値のある作業」を多く行っていると称賛しました。

市場はすぐにVitalikの発言に反応し、ZKの価格は週末の2日間で最大2.5倍以上上昇し、ZKエコシステムのトークン、例えばALT（AltLayer）、STRK（Starknet）、SCR（Scroll）、MINA（Mina）なども大きな上昇を見せました。

ZKsync Atlasアップグレードを理解した後、ZKsyncの取り組みが本当に過小評価されている可能性があることが分かりました。

速くて小さいが高価なZKP

Ethereum Foundationは早い段階からZKP（ゼロ知識証明）を推進しており、本質的には検証速度の遅さと検証データ量の多さという問題を解決しようとしています。

ZKPは本質的に数学的な確率問題です。完全に正確ではありませんが、その原理を大まかに説明する例を挙げます：ある人が「四色問題」を解決したと主張した場合、その解法を完全に公開せずに本当に解決したかどうかをどのように確認するのでしょうか？ゼロ知識証明の解決策は、全体のグラフからいくつかの部分を選び、それらの部分で隣接する2つの領域が同じ色でないことを証明します。そして、選ばれた部分の数がある値に達したとき、その人が四色問題を解決した確率が99.99……%に達したと証明できます。この時、全体像を知らずに「確かに四色問題を解決した」ことを証明できるのです。

これが、よく耳にする「どのように行ったかを知らなくても、確かにそれを行ったことを証明できる」ゼロ知識証明です。なぜEthereumエコシステムでZKPを強力に推進するかというと、ZKPの理論的な速度上限は個々のトランザクションごとの証明よりもはるかに速く、生成される証明自体のデータ量も非常に小さいからです。

速度が速い理由は、ZKPは全体像を知る必要がなく、チャレンジのみを行えばよいからです。例えばEthereumブロックを検証する場合、現在の方法では各ノードが各トランザクションの実行アドレスに十分な残高があるかなどの基本的な問題を検証しますが、もし1つのノードだけがZKPで各トランザクションを検証し、「証明」を生成すれば、他のノードはその「証明」自体が信頼できるかどうかだけを検証すればよいのです。さらに重要なのは、この「証明」自体のデータ量が非常に小さいため、転送や検証の速度が非常に速く、データ保存コストも低くなります。

では、なぜこの利点だらけの技術が広く使われていないのでしょうか。それはコストが高すぎるからです。

ZKPはすべてのプロセスを再現する必要はありませんが、チャレンジ自体が非常に多くの計算能力を消費します。AI軍拡競争のようにGPUを大量に積み上げれば、より速い速度を実現できますが、誰もがそのコストを負担できるわけではありません。しかし、アルゴリズムやエンジニアリングの革新によって、必要な計算能力や低い計算能力で証明を生成する時間をある程度まで短縮できれば、Ethereumの「技術革新による新たなアプリケーション導入による価格上昇」と「ノード構築のためのGPU購入コスト」のバランスが取れるようになります。そうなれば、やる価値が出てきます。

そのため、Ethereumエコシステムの多くのZK関連プロジェクトやオープンソース開発者は、ZKPとEthereumの組み合わせにおいて、より低コストで、かつ低コスト下でより速くZK証明を生成することに主眼を置いています。最近、BrevisチームはSP1 Hypercubeソリューションの半分のコスト（64枚のRTX 5090 GPU）で、平均6.9秒でEthereumブロックの証明（99.6%の証明時間が現在のEthereumブロック生成の平均時間12秒以内）を実現し、Ethereumコミュニティから高い評価を受けました。

GPUコストは依然として10万ドルを超えていますが、証明速度はすでにZKPなしのレベルまで下がっており、今後の課題はコスト削減です。

Altasアップグレードで1秒のZKファイナリティを実現

多くの人が知らないかもしれませんが、ZKsyncがリリースしたオープンソースzkVM「ZKsync Airbender」は、単一GPUでの検証速度が最速のzkVMです。Ethproofsのデータによると、単一の4090でZKsync Airbenderを使用した場合の平均検証時間は51秒、コストは1セント未満で、いずれもzkVMで最高の成績です。

ZKsync自身が提供するデータによれば、再帰を含まない場合、Airbenderは単一のH100とZKsync OSストレージモデルを使用してEthereumメインネットを検証する平均時間は17秒です。再帰を含めても、総平均時間は約35秒で、ZKsyncはこれが数十枚のGPUを使って12秒以内の検証を実現するよりもはるかに優れていると考えています。ただし、現時点では2枚のGPUによる平均22.2秒のデータしかなく、実際の良し悪しはまだ結論が出ていません。

これらすべてはAirbender単独の功績ではなく、アルゴリズムとエンジニアリングの最適化だけでなく、ZKsync技術スタックとの深い統合こそが最大の効果を生み出す鍵です。さらに重要なのは、単一GPUでEthereumメインネットのリアルタイム証明が可能であることを示した点です。

6月末にZKsyncはAirbenderをリリースし、国慶節の前日にAltasアップグレードをローンチしました。このAirbenderを統合したアップグレードにより、ZKsyncのスループット、確認速度、コストが大幅に向上しました。

スループット面では、ZKsyncはソーターのエンジニアリング最適化を行い、独立した非同期コンポーネントによって同期による消費を最大限に削減しました。また、仮想マシンが必要とする状態、APIが必要とする状態、ゼロ知識証明の生成やL1層でのゼロ知識証明検証に必要な状態を分離し、不要なコンポーネントのオーバーヘッドを減らしました。

ZKsyncの実地テストによると、高頻度価格更新、決済シーンでのステーブルコイン送金、ネイティブETH送金のTPSはそれぞれ23k、15k、43kに達しました。

もう一つの大きな変化はAirbenderによるもので、ZKsyncは1秒のブロック確認と1回の送金あたり0.0001ドルのコストを実現しました。メインネットブロックの検証とは異なり、ZKsyncは状態遷移の有効性のみを検証するため、計算量はメインネットブロックの検証よりはるかに少なくなります。ZKファイナリティを実現したトランザクションも、最終的なL1ファイナリティを得るにはメインネットでの検証が必要ですが、ZK検証があればそのトランザクションの有効性が示され、L1ファイナリティはむしろプロセス上の保証のようなものになります。

つまり、ZKsync上で実行されるトランザクションはZKP検証だけで完全に有効と確認でき、さらに大幅にコストが下がったことで、ZKsyncは自らが言うように、Airbenderだけがもたらすことのできるユースケースを実現しました：

まず当然ながら、オンチェーンオーダーブック、決済システム、取引所、自動マーケットメーカーなどのアプリケーションです。Airbenderはシステムが非常に高速に検証・決済できるようにし、これらのアプリケーションがオンチェーンでロールバックされるリスクを低減します。

第二に、現在多くのL2では実現できない、パブリックシステムとプライベートシステム（例えばZKsyncのPrividiums）がサードパーティなしで相互運用できる点です。PrividiumsはZKsyncが企業向けにプライベートチェーンを構築するための基盤インフラです。企業にとってブロックチェーンへの要求は、迅速な決済とプライバシーです。迅速な決済は言うまでもなく、ZKPの本質的なプライバシー性により、企業のプライベートチェーンがパブリックチェーンと相互運用する際に、チェーン自体の台帳情報を公開せずにトランザクションの有効性を検証できます。両者を組み合わせることで、オンチェーン証券や為替取引のコンプライアンス要件における決済時間の規定も満たせます。

これがZKsyncがEthereumに次ぐ第2位のトークン化RWA資産発行ネットワークとなった理由かもしれません。

ZKsyncはまた、これらすべてがAltasアップグレードの下でのみ実現できると自信を持って述べています：ソーターが低遅延でトランザクションをパッケージし、Airbenderが1秒以内に証明を生成し、その後Gatewayが検証とクロスチェーンメッセージの調整を行います。

L1とL2の接続

Vitalikがリポストしたポストの通り、ZKsync創設者のAlexはAltasアップグレード後、ZKsyncが本当にEthereumメインネットとの接続を実現したと考えています。

現在、ZKsyncのトランザクション最終確認時間（約1秒）はEthereumメインネットのブロック生成時間（平均12秒）より短く、これはZKsync上で行われる機関投資家やRWA取引が本質的にEthereumメインネットと同じであり、Ethereumメインネットでの確認を待てばよいことを意味します。つまり、ZKsyncはL2上で流動性センターを再構築する必要がなく、メインネットの流動性を直接利用できます。なぜなら、ZK RollupはメインネットとのクロスチェーンでOP Rollupのように7日間のチャレンジ期間を必要とせず、Altasアップグレードでさらに速度が向上したからです。

これにより、最近Ethereumコミュニティで議論されているL2の断片化問題が改善され、L2とL1はもはや分断された2つのチェーンではなく、迅速な確認と検証によって一体化され、L2は初めて本当に「スケーリングネットワーク」と呼べるようになりました。

ZKsyncやScrollが最初にメインネットにローンチした際、トランザクション確認速度やGas手数料はメインネットと同等かそれ以上であり、これはローンチ直後はZKPのアルゴリズムやエンジニアリングの体系的な最適化がまだ行われておらず、検証速度が遅くコストが高かったためです。当時はZK Rollupへの信頼危機も引き起こしました。今では、OptimismやArbitrumも徐々にOP RollupからZK Rollup（または両者の組み合わせ）へと移行し、ZKsyncなどZK Rollupはコストと速度のさらなる向上、Scrollの分散型ZKPも「ありえない」から期待できる成果へと変わりました。

かつては批判の的だったZKも、今や注目の的となり、夜明けを迎えました。ソーターとクロスチェーンブリッジのマルチシグが完全に分散化された後、本当にDragonflyマネージングパートナーのHasseb Qureshiが言う「can't be evil」が実現できるかもしれません。