中国、仮想通貨を使った外国為替取引スキームを摘発=5人に違法取引の有罪判決

中国政府が仮想通貨を使った外国為替取引スキームを摘発

北京当局は、仮想通貨を使った11億8千万円相当の違法外国為替取引の罪で5人が有罪判決を下した。

A Beijing court in China sentenced five individuals to prison terms ranging from two to four years for converting client-transferred RMB into USDT and transferring it across borders, effectively engaging in disguised foreign exchange transactions involving over $166 million.…

— Wu Blockchain (@WuBlockchain) October 29, 2025

中国・北京の裁判所は、違法なテザー（Tether/USDT）取引をしたとして5人に実刑判決を下した。これらの有罪判決の詳細は、北京で開催された2025年金融街フォーラムで発表された金融検察の高品質事例報告書（2024～2025年）に記載されている。

このグループは人民元をUSDTに交換し、中国の厳格な外貨管理を回避して海外に送金。この判決は、中国本土企業が香港に進出する一方で、中国政府が仮想通貨に対する取り締まりを続けていることを浮き彫りにした。

2023年1月から8月にかけて、リン被告と4人の仲間は、USDTを用いた高度なネットワークを運営し、11億8000万円を超える違法な通貨交換をした。裁判所は、この「偽装外国為替取引」が、中国のマネーロンダリング（資金洗浄）防止法と外貨管理条例に違反すると判断。両条例はいずれも不正な国境を越えた資金移動を禁じている。

海外の「ブラックマーケット」為替取引グループの指示の下、彼らは国内の銀行口座に多額の人民元を入金し、さまざまな取引プラットフォームを通じてその資金をUSDTに換金。その後、資産を国境を越えて移動させることで、偽装された外国為替取引を実行していた。

仮想通貨犯罪に対する証拠体制の強化

検察は、仮想通貨取引の暗号化と分散化という性質上、大きな課題に直面していた事から、対抗するため、北京の検察チームは「データ主導型かつテクノロジーを活用した」捜査戦略を採用した。

彼らは技術専門家と協力し、ブロックチェーン取引の追跡、仮想通貨の動きと国内銀行記録の照合、そして人民元流入と国境を越えたUSDTへの変換を結びつける完全な取引チェーンの再構築を行った。

この事件は、中国が仮想通貨や違法な外国為替取引に関わる犯罪の追跡・訴追能力を高めていることを浮き彫りにしており、この捜査で開発された手法が、デジタル経済における新たな金融犯罪への対策のモデルとなるだろうと述べている。

中国政府による取り締まりは、仮想通貨関連の金融不正行為への対策に向けた国際的な動きと軌を一にしている。世界の法執行機関は、ブロックチェーン情報企業と協力し、最近、2つの多国間共同作戦を通じて、サイバー犯罪や詐欺に関連する3億ドル以上の仮想通貨を押収した。