暗号資産の合併・買収が過去最高の100億ドルに達する

Architect Partnersの新しいレポートによると、今年第3四半期における暗号資産関連のM&A（合併・買収）取引の総額が100億ドルを超えたことが明らかになりました。これはこの分野で記録された過去最大の合計額です。

この数字は今年初めに記録された50億ドルというこれまでの最高記録の2倍であり、2024年の同時期と比較して30倍の増加となっています。

なぜ暗号資産M&A取引が活況なのか

この数字を比較すると、この四半期だけで2022年第1四半期から2025年半ばまでのM&A取引総額（約110億ドル）にほぼ匹敵します。

Crypto M&A Deals From Q1 2021 Till Q3 2025. Source: Architect Partners

これを踏まえ、Architect Partnersは、この急増が前回の市場サイクル後に続いた長期的な低迷からの明確な脱却を示していると述べています。また、現在のプロクリプト環境が業界の成長を後押ししていることも示しています。

「私たちは『Crypto Winter』を確実に脱し、デューデリジェンスをクリアできる創業者が実質的な資金調達を行う、より規律ある成熟した段階に到達しています」と同社は述べています。

Architect Partnersは、この期間中の暗号資産M&Aの波を後押しする5つの主要な要因を挙げています。

レポートによると、M&A取引に関与する企業は、伝統的な金融とデジタル資産サービスの橋渡しや、効率的な事業拡大に注力しています。また、より厳格なコンプライアンスやライセンス基準への対応、暗号資産決済インフラの拡充、流動性やボラティリティに対応するための財務管理戦略の改善にも取り組んでいます。

そのため、デジタル資産トレジャリーのリバース・マージャーが、報告期間中に開示された総額の約62億ドル、つまり約37％を占めているのも驚くことではありません。

Top Crypto M&A Deals in Q3 2025. Source: Architect Partners

これは、機関投資家がこれらの取引を通じて、従来の証券取引所での上場を維持しながら暗号資産へのエクスポージャーを高めていることを示しています。

勢いは第4四半期にも継続

この勢いは衰える気配を見せておらず、今四半期もすでにいくつかの新たな取引が登場しています。

例えば、暗号資産プライムブローカーのFalconXは、資産運用会社21Sharesの買収を最終調整中と報じられています。米国最大の取引所CoinbaseはEchoの買収を進めており、Krakenは最近、デリバティブプラットフォームSmall Exchangeの買収を完了しました。

業界関係者によれば、これらの動きはより深い構造的変化を示しています。The Big Whaleの共同創設者Raphael Blochは、現在の波が新たな競争秩序の始まりを示していると述べています。

「私たちは暗号資産業界の新たな段階、すなわち統合の波に突入しています。最も強力なプレイヤーは資金、ライセンス、そして拡大のビジョンを持っています。他方、ベアマーケットで疲弊した企業は魅力的な買収ターゲットとなっています」と彼は指摘しています。

Blochはまた、銀行などの伝統的な金融機関が暗号資産インフラ企業への投資を通じて新興業界への参入を加速させていることにも言及しました。

彼によれば、これはトークン化、カストディ、デジタルトレーディングが現代のポートフォリオに不可欠なものとなりつつあることを明確に認識している証拠です。

「これは単なるいくつかの取引ではなく、構造的変化の始まりです。今後1年で、暗号資産と伝統的金融の結びつきを再構築するような数十件の買収、パートナーシップ、合併が期待されます」と彼は付け加えました。