エルサルバドル、量子ハッキングリスクに備えBitcoin準備金を分割

エルサルバドルは、ビットコインの財務管理構造を一新し、単一ウォレットシステムから分散型モデルへと移行しました。

8月30日、National Bitcoin Officeは、準備金を複数のアドレスに分散して保管し、それぞれのアドレスには500 BTCを超えないようにすることを確認しました。

エルサルバドルがビットコイン財務準備モデルを変更する理由

エルサルバドル政府は、この再分配がデジタル資産管理におけるグローバルなベストプラクティスに沿ったものであると述べています。また、この動きは量子コンピュータに関する長期的な懸念に対応するものだと説明しました。

政府によると、量子コンピュータは理論的にはビットコインの鍵を保護する暗号技術を突破できる可能性があります。この可能性は、デジタルウォレットのセキュリティに関する長期的な疑問を提起しています。

以前、エルサルバドルは単一のアドレスを継続的に再利用していました。この慣行により、公開鍵が常に公開され、攻撃者に無制限の時間を与えて侵害を試みることができる状態となっていました。

新しいシステムでは、保有資産を複数の未使用アドレスに分散させることでこのリスクを回避し、リストを公開することで説明責任を確保しています。

これを踏まえ、Bitcoin Officeは、資金を分散することで各ウォレットに保管される金額を制限し、エクスポージャーを減らすと述べています。また、未使用の公開鍵がトランザクションが発生するまでブロックチェーン上に現れないようにすることも防ぎます。

「各アドレスに保管する資金を制限することで、量子脅威へのエクスポージャーが減少します。なぜなら、ハッシュ化された公開鍵を持つ未使用のビットコインアドレスは保護されているからです。一度アドレスから資金が使われると、その公開鍵が公開され、脆弱になります。資金を小分けにすることで、潜在的な量子攻撃の影響を最小限に抑えることができます」と政府は主張しています。

National Bitcoin Officeを率いるStacy Herbertは、この動きを予防的かつ戦略的なものと位置付けました。

「エルサルバドルは最初にStrategic Bitcoin Reserveを設立し、この真の主権と自由なマネーの時代におけるベストプラクティスの確立において引き続きリードしています」と彼女は述べました。

一方で、この決定は業界関係者から好意的な反応を集めています。

Bitcoinカストディ企業CasaHODLの共同創設者であるNick Neumanは、大規模保有者が将来の脅威を予測する良い例だと評価しました。

「大規模かつ公開されたBTC保有者が、将来の量子脅威に対して積極的な対策を講じているのを見るのは素晴らしいことです。エルサルバドルは、国家がどのようにビットコイン財務を管理すべきかの良いモデルであり続けています」とNeumanは記しました。

この動きは、国際通貨基金（IMF）がエルサルバドルはビットコインの保有量を実質的に増やしていないと主張した約1か月後に発表されました。代わりに、ほとんどの活動は新規購入ではなく内部移転であると指摘されていました。

それにもかかわらず、この中米の国は新たなビットコイン購入を発表し続けており、総保有量は6,284 BTC（6億8,100万ドル超）に達しています。記事執筆時点で、Mempoolの匿名創設者Mononautは、これらの資金が14の新しいアドレスに分散されていると報告しました。

エルサルバドルの新しいビットコイン準備金管理。出典: Mononaut.

注目すべきは、Nayib Bukele大統領が最近、この数字が年末までに10億ドルに近づく可能性を示唆したことです。