Web3ファウンデーションが大幅な組織再編を実施：Bill Laboon氏がエコシステム担当副社長に就任し、戦略を統一的に展開、さらにPolkadot Agentsプログラムを開始！

Polkadotのエコシステムにおいて、Web3 Foundationはしばしば「公式管理機関」と誤解されがちですが、実際には常により根本的な役割――サービス、調整、Web3理念の実現推進――を堅持しています。エコシステムの進化に伴い、財団の組織構造も絶えず調整されています。最近では、Bill Laboon氏が財団のエコシステム副社長に任命され、財団がエコシステムの発展、助成メカニズム、コミュニティ協力、技術普及をより統一的な戦略視点に取り込もうとしていることを示しています。

教育とガバナンスから、現在の建設とエコシステム成長の統括まで、Bill氏の新しい役割は単なる昇進ではなく、Web3 Foundationが分散型エコシステムにおける自らの立ち位置を再考していることを反映しています。今回のSpace Monkeys番組では、Bill氏自身に焦点を当て、財団がPolkadotの未来――そしてKusama、JAM、Web3全体の運命をどのように見ているかを語ります。

番組内容が長いため、上下2部に分けてお届けします。本記事は前半部分です！主な内容は以下の通りです：

• Polkadotに多くのリソースを投入しているが、それが全ての使命ではない
• Web3 Foundationの新戦略：エコシステムのストーリーを統一し、接続方法を再構築
• Polkadot Agentsプランの開始

引き続き全文をご覧ください！

Polkadotに多くのリソースを投入しているが、それが全ての使命ではない

Jay：Space Monkeys！本日は再び旧友のBill Laboon氏――現Web3 Foundationのエコシステム副社長をお迎えします。前回ご出演いただいてから、Polkadotエコシステムには多くの新しい変化がありました。本ポッドキャストではそれらを一つずつ掘り下げていきます。Billさん、お帰りなさい！

Bill：ありがとうございます。またここに来られてとても嬉しいです。

Jay：今年は特に活発に活動されていると多くの方が気づいています――以前からお忙しかったですが、最近は特に動きが多いですね。ちょうどこのポッドキャスト収録の1～2日前に、Web3 Foundationでの新しい役職――エコシステムVPを公式発表されました。これは大きなニュースです。以前は教育分野の責任者でしたよね？

Bill：はい、以前は教育とガバナンスプロジェクトのディレクターで、主にOpenGov関連の業務、技術教育コンテンツ、サポートチームやステーキングチームの調整などを担当していました。たとえば分散型ノードの運営支援などです。もちろん、各チームにはそれぞれ責任者がいますが、私は主に戦略的な観点から指導していました。

そして今の新しい役職では、これまで私が行ってきたエコシステム構築、コミュニティ参加、OpenGov推進などの業務と、建設面の助成、投資、ビジネス開発などを統合しています。以前はこれらの業務が異なるチームによって個別に担当されていましたが、今後は一つの戦略フレームワークの下で協調的に推進したいと考えています。

Jay：つまり、ユーザーから開発者、コミュニティから投資まで、今はあなたが統括することになったということですか？

Bill：そのように理解していただいて構いません。よりマクロで戦略的な視点から、Polkadotエコシステムの発展を推進したいと考えています。

コミュニティメンバー、Polkadotユーザー、OpenGovの参加者、内部・外部の開発者――彼らは皆エコシステムに不可欠な存在です。これらの重要なグループを支援し、共に成長できるよう、より調和の取れたメカニズムが必要です。

Jay：ここが非常に重要な点です。多くの人がWeb3 FoundationをPolkadotの「公式財団」と誤解しています。これは従来の暗号プロジェクトの影響を受けているためです――多くのプロジェクトは一つの財団が全てを推進し、意思決定もガバナンスもビジネス開発も担っています。だから当然のようにWeb3 Foundationも「全てを統括すべき」と思われがちですが、実際にはWeb3 Foundationの立ち位置は最初から違います。

Bill：その通りです。私たちの使命を理解していただければ分かると思いますが、私たちはStiftung、つまりドイツ語で「財団」や「目的機関」を意味します。営利企業ではなく、明確な目標――分散型インターネットの発展推進――のために存在しています。

Polkadotに多大なリソースを投入していますが、それが私たちの使命の全てではありません。例えばWeb3 SummitはPolkadotのためのイベントではありません――実際、多くの参加者はPolkadotチェーンでトランザクション（extrinsic）を送ったことすらなく、このエコシステムに詳しくない人もいます。彼らがここに来るのは、Web3理念の普及と実現を共に推進するためであり、それこそが私たちの真の使命の核心です。

私たちのエコシステム内での役割も「執行機関」とは異なります。例えばOpenGovでは、何か変更を行う際、最終的にはDOT保有者であるコミュニティメンバーの投票で決定されます。私たちはこの点を深く理解しており、この理念を自らの行動様式にも徹底しています――どんな意思決定をする前にも、コミュニティの声を積極的に聞き、その意志を尊重します。

Kusamaの新ビジョンを例に挙げると、私たちは「これが私たちの計画です」と直接発表するのではなく、まずコミュニティにアイデアを投げかけ、皆が支持するかどうかを見ます。Polkadot Agentsプロジェクトも、強制的に推進するのではなく、まずコミュニティに「このような計画が必要ですか？」と尋ねます。私たちはPolkadotやOpenGovの命令受け手ではありませんが、Polkadotのために何かをするなら、それがPolkadotコミュニティが本当に望んでいることかを必ず確認します。

同時に、Web3 Foundationの目標はPolkadotのサービスに限定されず、Polkadotコミュニティの要望に応えるだけでもありません。私たちの真のビジョンは、Web3世界全体の構築を推進することです。

Polkadot、Kusama、JAM、そして他のプロジェクトへの助成を通じて私たちが行う全ては、ユーザーが本当に自分のデータと分散型世界での自主権を持てるようにするという共通の目標のためです。

Web3 Foundationの新戦略：エコシステムのストーリーを統一し、接続方法を再構築

Jay：だからこそ、あなたがこの新しい役職に就任したことは非常に意義深いと思います。Web3 Foundationの使命は分散型インターネットの推進であり、PolkadotとKusamaはまさにこのビジョンを実現するための重要なインフラです。多くのDOTやKSM保有者は、より明確なエコシステムの方向性を求めてきましたが、Web3 Foundationにはそのような戦略的指導を提供する十分な能力があると私は信じています。

あなたはコミュニティの中で非常に先見性のある代表的人物です――フォーラムで活躍し、私たちAAGの番組にもよく出演し、ダイレクトメッセージにも常に丁寧に返信してくださいます。皆さんにとって非常に馴染み深い存在です。今回の任命は全員にとって朗報であり、エコシステムを「一つにまとめる」絶好の機会でもあります。

Bill：まさに私が最も推進したい方向です。分散化は「各自が勝手にやる」という意味ではありません。多くのコミュニティメンバーと話してきましたが、確かに共通する問題――調整の欠如――を感じています。

私たちは「皆をリードする」ことが目的ではなく、Polkadotの成功を推進したいのです。そしてこの目標を実現する方法は、コンセンサス、協調、目標意識に基づくべきだと信じています。

就任したばかりで多くの詳細はまだ計画中ですが、すでにこの方向性の推進に着手しています。私たちは、皆が共通して認識しているコアな問題は何か、優先的に対処すべきことは何かを整理・分析しています。私たちのモデルは依然として分散型ですが、私は「調整者」としての役割を果たしたいと考えています。

これまでOpenGov、コミュニティ発展、助成プランを担当してきたので、この新しい役職は私にとって馴染み深いものです。2018年からPolkadotの構築に関わってきましたが、その頃はまだメインネットも立ち上がっていませんでした。この数年でエコシステムの課題やボトルネックを多く見てきて、システム的な問題についても多く考えるようになりました。何が開発者参加を妨げ、エコシステム拡大に影響しているのかも把握しています。

今の役職では、ユーザーと開発者の両方の視点から、より戦略的な調整と推進ができます。本当に、これがエコシステムのパラダイム転換につながることを心から願っています。大げさに聞こえるかもしれませんが、私は本当にそう信じています：Polkadotエコシステムが今最も必要としているのは、明確な北極星――統一された方向性、明確な戦略、明快なシグナルを発信し、コミュニティ全体が同じ目標に向かって努力することです。

今後1～2か月以内に、明確な戦略ブループリントを提示し、統一された対外表現を形成し、コミュニティ全体が共通認識できるコア目標を確立することを目指しています。このエコシステムを新たな段階へと共に押し上げたいと思います。

Jay：私たちのエコシステムは本当に「分散化」を実現していると常々感じています。つまり、たとえコアノードに問題が起きたり、調整メカニズムが完全に機能しなくなっても、エコシステム自体は崩壊しません。最悪の事態になっても、十分なツールやメカニズムがあり、他の人や組織がバトンを引き継げます。

このような分散型の基盤構造は、Polkadotにセーフティネットを張るようなもので、危機時にも安定を保てます。あるエコシステムのように、財団が倒れるとシステム全体が崩壊することはありません。私たちのアーキテクチャは長期的な存続を目指しています。そして今あなたが推進していることは、このネットの弾力性を強化するものであり、非常に重要です。

Bill：まったく同感です。分散化には多くの利点があり、もちろん課題もありますが、最も重要な利点は、コミュニティが脆弱性を即座に発見し、積極的にギャップを埋められることです。

仮にWeb3 Foundationがなくなったとしても――もちろんそれが良いことだとは言いませんが――Polkadotエコシステムには多くの分散型人材、知識、リソースがあります。たとえばTechnical Fellowship、多くのプロジェクトチーム、常にコミュニティの最前線で活動している人々。さらに、1億ドルを超えるオンチェーン国庫（正確な数字は分かりませんが、確実にそれ以上です）や、ガバナンスに情熱を持つ多くの人々が、リソースを本当にエコシステム発展に使おうとしています。

だからこそ、あなたの言葉にとても共感します：Polkadotは綱渡りのパフォーマーのようで、分散型アーキテクチャが常に支えてくれるセーフティネットです。突発的な事態が起きても、誰かが新しい解決策を試みることができます――たとえば動きを変えたり、逆立ちしたり、パルクールで橋を渡ったり……下にネットがあるからこそ、このシステムの耐久力は人々が想像する以上に強いのです。

Polkadot Agentsプランの開始

Jay：それでは、現在推進中の新しいメカニズムについてお話ししましょう。実は正式就任前から、いくつかの新しい提案を進めていましたが、その中で最近最も議論されているのが「Polkadot Agents」プランですよね？

この提案は現在「Wish for Change」チャンネルに提出されていて、支持率は100%に達していますよね？こういうケースは本当に珍しいです。このプランのコアアイデアは何ですか？

Bill：簡単に言うと、OpenGovやエコシステム全体のサポートメカニズムにはいくつかの「空白」があることに気づきました。現在オンチェーンには多くのバウンティメカニズムがあり、イベントバウンティ、オフラインミートアップ、ビジネス開発、ゲーム分野など、通常の国庫提案もあります。しかし、これらのツールには一定のハードルや遅延があり、小さくて急ぎのニーズには適していません。

私は現在のエコシステムを、すでに敷き詰められた玉石の道に例えています――それぞれの石は準備できているが、それらを「セメント」でつなぐものが足りない。「Polkadot Agents」はその「セメント」の役割を果たします。

例えば、急遽小規模なイベントを開催したいが、オンチェーン提案やバウンティ申請の時間が足りない場合、どうしますか？もしあなたが認定されたAgentであれば、私たちに直接小額の助成（例えば500ドル）を申請でき、短期間で迅速に対応できます。

Web3 Foundationは中央集権的な組織であり、オンチェーンのような完全な民主的ガバナンスはできませんが、その強みはレスポンスの速さです。オンチェーンのプロセスは通常、マルチシグや複数回の投票、さまざまなガバナンスサイクルが必要ですが、私たちはより柔軟な判断ができます。OpenGovにまだ慣れていない人や、オンチェーンメカニズムを調べる時間がない人にとって、このような迅速な補完メカニズムは特に重要です。

要するに、Polkadot Agentsは「小さなこと、急ぎのこと、突発的なこと」を解決する軽量なメカニズムであり、オンチェーンガバナンスの代替でも、大規模プロジェクトの支援でもありません。

Jay：例えば、誰かがBDに行ったり、イベントに参加したり、何人かと話して連絡先を得たりするような個人実行型のタスクもサポートできますか？

Bill：もちろん可能です。このような自発的なエコシステム推進活動を大歓迎します。例えば、急遽ヨーロッパの会議に参加する機会があったり、EUの役人と会うことができる場合、それがPolkadotの普及に価値があると判断できれば、背景を説明していただき、私たちが合理的だと評価すれば、旅費をサポートできます。

実際、私たちは「本来支援すべきなのに、プロセスで止まってしまう」事例を多く見てきました。やる気も能力もあるのに、迅速な対応チャネルがない――これこそPolkadot Agentsが解決したい問題です。

もちろん、「来年のPolkadot Decodedを主催したい」といった大規模な計画は、オンチェーンプロセスを踏むべきです。しかし、「来週フランス大統領に会うので航空券が必要」と言われ、私たちがあなたが誰で何をしてきたかを知っていて信頼できるなら、すぐに資金を提供できます。

Jay：分かりました。参加者はまず「身元登録」が必要ですか？KYCに近い感じでしょうか？財団として、資金提供にはコンプライアンスが必要ですよね。

Bill：はい、それが基本前提です。私たちはスイス財団として、DOTを保有していますが、オンチェーンガバナンスには参加していません。そのため、資金の流れを明確にする必要があります。Polkassemblyで「なぜ身元確認が必要なのか」と不満を言う人もいますが、これが理由です。

もちろん、私たちの目標は制限ではなく、信頼と効率の確保です。認定Agentであれば、あなたが誰で何をしているか分かっているので、迅速に支援判断ができます。

Polkadot Agentsへの参加は給与が発生するものでも、仕事でもありません。Polkadotのために貢献したい人が、自腹を切ることで躊躇しないようにしたいだけです。

Jay：素晴らしいですね。つまり、より柔軟なコミュニケーションチャネルを構築し、今後の重要なタイミングでアクティブメンバーが迅速にサポートを受けられるようにし、より多くの基盤的なエネルギーを引き出せるということですね。

Bill：はい、これがもう一つ強調したいポイントです。メカニズムの空白を埋めるだけでなく、このプランはエコシステム内の重要なアクターとより良い連携を保つのにも役立ちます。

例えば、定期的にメーリングリストやコミュニティチャネルを通じて、AgentsにPolkadotの最新動向や戦略方向を共有し、エコシステムの発展についてより明確な認識を持ってもらうことができます。また、このチャネルを通じて現場の声を多く聞き、どこに支援が必要かを把握し、より戦略的な調整ができます。

Jay：これは本当に必要なことです。これまでは多くの人がOpenGovの利用プロセスを自分で手探りで学ぶしかなく、特に「財団→OpenGov」への移行期には情報が断絶しがちでした。今あなたたちがやっているのは、まさにその空白を埋めることですよね？

Bill：まったくその通りです。私たちは「橋」を架けているようなものです。ベテランユーザーにとっては小さなギャップかもしれませんが、初心者にとっては「大きな溝」です。オンチェーンガバナンスに触れたことがなければ、OpenGovのハードルは確かに高いです。

私は数か月ごとにPBAXのオンラインコースでOpenGovについて講義していますが、多くの参加者は「オンチェーンガバナンスが何をするものか」すら分かっていません。ましてや使い方や始め方も分からないのです。

ガバナンスにはプロセスだけでなく、多くの「暗黙のルール」や背景知識があります。例えば、どんなトピックが議論を呼びやすいか、どんな提案方法がコンセンサスを得やすいか、多くの人は知りません。時には、誰かがいきなり投票を発起しても、事前にフォーラムで意見を求めたりコミュニティと交流したことがなければ、誰も反応せず、共感も得られず、最終的に否決されてしまい、落胆することもあります。

ですから、教育の観点から言えば、どのチャネルを使うか、どう提案するかだけでなく、コミュニティに溶け込み、信頼を築き、支援を得る方法も教える必要があります。

Jay：そうですね、結局のところ、OpenGovはPolkadotの「ソーシャルレイヤー」です。いきなり集まりに行って要求を出すのではなく、まず顔を覚えてもらい、信頼を築く必要があります。

今回の「Agents」プランは、まさに皆さんにエントリーパスを提供するものです。